2008年04月10日

■□ 和船が身近に!浦安市郷土博物館レポート Byぐんそう □■

“浦安の博物館で、ただいま和船を建造中!”
桜の花も盛りのある日、こんなウワサを聞きつけたSaltyFriends
ボランティアチーム取材班は、さっそく浦安市に乗り込みました!

 市役所をはじめ浦安市の公共施設が集まる地区、図書館と健康セ
ンターにはさまれた一角に、「浦安市郷土博物館」はあります。ご
くごく小さな建物なのですが、2001年に開館した当初は年間利用者
数が延べ10万人を超え、現在でも多くのリピーターが訪れるとか。
この驚くべき人気の秘密はどこにあるのでしょう?

【古き良き浦安のまち】

 博物館の外の回廊から、屋外展示場を見下ろしてびっくり!箱庭
のような場所に昭和初期の浦安の町並みが再現され、古い木造建築
の間の狭い路地を子供たちが駆け回っています。
そして、水路に所狭しと浮かぶ舟、船、フネ!

打瀬船.jpg
タイムスリップしたような博物館一角。マストが立っているのが
打瀬船(うたせぶね)。


地下1階の屋外展示場には、浦安の各地から県や市の文化財に指定
されている長屋、商店といった建物を移築してあります。この復元
された町でおこなう体験学習こそが、浦安市郷土博物館の活動の根
幹を成すものです。
博物館ボランティア「もやいの会」を中心に、海苔すきや貝むきと
いった地元に伝わる技能、ベーゴマ等の昔遊び、和船への試乗等、
さまざまな体験事業が企画されています。

展示場の一角には、山本周五郎が浦安をモデルに書いた小説『青べ
か物語』に登場する天ぷら屋「天鉄」も再現されており、映画化
もされた同作品に関する展示が行われています。
映画のほうは誇張が多く、地元民には不評だったとか・・・。

このほか一階の常設展示室には、浦安近海の魚が泳ぐ大水槽や、
さまざまな漁具、海苔養殖の道具、東京方面で活動する浦安行商人
の道具等も展示されています。

和船模型.jpg
本職の船大工さんが作る模型。やっぱり迫力!!


【和船と共にあるまち、浦安】

 本題の(?)船の話に移りましょう。かつて浦安漁業の最盛期には
市内を流れる境川に千数百隻の和船が並んでいました。当然、博物
館の和船に関する展示は実に豊富で、境川を模した水路には、大小
さまざまな船が係留されています。その殆どが、この博物館で建造
されたものだと言うのですから驚きです!

≪打瀬船≫

展示場に入ってすぐ、橋のたもとに係留された、一際目立つ二檣の
帆船は「打瀬船」(うたせぶね)といいます。
袋状の網を風力でひいて魚を取る底引網漁の一種“打瀬網漁”に用
いる船で、網の間口をできるだけ広くするため、船体を横向きにし
て帆走するのが特徴です。このため、船底は間切り航(角型竜骨)の
無い平底で、大きさの割に喫水が浅くなっています。

展示中の打瀬船は2000年に建造されたもので、かつては境川に係留
されて試乗会等に活躍していました。しかしフナクイムシの被害
(まだ存在するんですね!)にあったため、船底をFRPに張り替え
た上で博物館内の水路に係留して現在に至っています。

航行はしませんが自由に乗ることができ(揺れるので注意)、スタッ
フの方にお願いすれば帆桁を上げることもできます。土日や祝日に
は実際に帆を上げるほか、漁網を干したり、大漁旗を掲げたりもす
るそうです。

打瀬船&ベカ舟.jpg
打瀬船とベカ舟 お願いすれば乗せていただけます♪

≪ベカ舟≫

水路のあちこちに浮かぶ小型の舟は「ベカ舟」と呼ばれるものです。
浦安を代表する船といえば、何と言ってもこの「べカ舟」でし
ょう。貝採りや海苔の採集に用いられる一人乗りの木造船で、東京
湾の漁船の中では最も小型のものです。船材が薄く、触るとぺかぺ
かする事から「ベカ」と呼ばれるようになったとも言われます。

海苔や貝の獲れる浅い海で活動するため、非常に浅喫水の平底舟で
あり、水深30cm程度の博物館内水路でも問題なく浮かんでいます。
海苔ヒビ(海苔養殖のため海中に設置する網)の中に入り込んでも引
っかからないように、上棚(構造材を兼ねた和船の外板)の取り付け
に“ノッケ造り”という独自の技法が用いられました。

このベカ舟も実際に乗る事ができ、ボランティアの元漁師さんが漕
いで水路を往復してくれます。平底なので、波も無いのにやたら
と揺れるのですが、このスリルが子供たちには大人気のようです。
この体験試乗会は、開館日なら毎日行われています。

実はこの「ベカ舟」、小なりとはいえ“帆船”で、起倒式の帆柱を
持っていました!帆の形状は台形、帆桁と帆柱の接合部が片側に
寄っており、洋式帆船の「ラグスル」に近いものと思われます。お
そらくラグスル同様、縦帆と横帆の能力を兼ね備えているのでしょ
う。
帆は木綿製、帆柱・帆桁とも竹製で、構造は至って簡素です。帆走
装置一式は館内の海苔製造場(復元)内に保管されていますが、これ
も頼めば見せてもらえますよ!

ベカ セイル ミミジロ部分.jpg
独特なセイル 写真はベカ舟の帆、一番外側の「ミミジロ」部分


≪焼玉エンジン≫

水路の奥、博物館の壁際には、黒光りする大きなエンジンが置いて
あります。本館の常設展示の目玉、「焼玉エンジン "semi-diesel
engine"」です!江戸川に沈んでいた買出し船(稚貝の運搬船)「吉岡
丸」から1997年に引き上げたもので、3年をかけて稼動状態にまで
修復されました。

焼玉エンジンとは、シリンダー上部にある焼玉をバーナーで加熱し
て燃料を発火させるディーゼル機関の亜種(通常のディーゼル機関は
空気を圧縮することで高温にするが、高圧に耐えるシリンダーを作
る高い工作技術が必要)で、工作技術が低かった地方の製作所で数多
く造られ、かつては日本の漁船用エンジンの大部分を占めていたも
のです。

しかし現在では殆ど姿を消し、動態保存されているのは全国でも浦
安だけになってしまいました。このため、各地から研究者や博物館
関係者が見学に来るそうです。実際に動かしたり整備できる方も現
在では少なくなり、学芸員さんが一生懸命に技能習得中とか。

土曜日と祝日のみ(2008年4月〜)始動実演をしていますが、バーナー
を使う関係上、天候に左右されやすく中止になる事も多いため、見
学の際はあらかじめ博物館側に実施するかどうか確認したほうがよ
いでしょう。
浦安市郷土博物館 (代表)047−305−4300

焼き玉エンジン.jpg 
うねうねと複雑にからみあう配管は、宮崎アニメに登場しそう!?
国内唯一、生きてる「焼き玉エンジン」


≪船の展示室と仮屋≫

屋外展示場から館内に入ったところにある「船の展示室」には、か
つて使われていた漁船の実物が展示(浮いてはいませんが、これも実
際に乗れます)してあるほか、和船の建造施設である「仮屋」があり
ます。船大工の道具等が展示されているのですが、それだけではあ
りません。これが本館のもう一つの目玉で、館内水路の船をはじめ、
多くの和船が実際にこの場所で建造されているのです!

仮屋.jpg 仮屋 2.jpg
和船を造るところも間近に見学できます!興味深い「仮屋」


建造に携わっているのは「浦安船大工技術保存会」の方々で、技能
を維持するため、博物館の協力の下、毎年数隻のペースで「ベカ舟」
をはじめとする和船を建造しているそうです。できあがった船は
館内に展示するほか、境川に浮かべて試乗会に使ったり、各地の博
物館や和船保存会にも引き渡されています。

最近の建造は3月半ばに行われ、境川の桜まつりにあわせて竣工、
現在は川に係留中とのお話。
取材班が耳にした「建造中」との情報は、この船の事だったようで
す。造船シーンを見物し、あわよくば船釘の一本も打たせてもらお
うかと意気込んできただけに、ちょっとガッカリ・・・。とは言え、こ
こにはいつも数名の船大工さんや漁師さんが常駐しており、模型作
りに勤しんでいます。

製作中の模型は、和船の構造や建造技術を知るにはもってこいでし
ょう。仮屋には鋸や鉋の音が響き、檜材や杉材のよい香りが漂って
いました。

上から見た情景 浦和郷土M.jpg
博物館入ってすぐ見下ろせる「街並み」
写真提供、ぐんそう


【見学後記】

 見学していて感じたのは、何よりも“温もりのある”博物館だと
いう事です。来館者、スタッフ、そしてボランティアの方々も、古
き良き浦安の町に溶け込み、体験学習を心から楽しんでおられるよ
うに思いました。

現在「船の科学館」で活動中の我々SaltyFriendsボランティアチー
ムとしても、参考にすべき点が多いのではないでしょうか。
みなさんも、ぜひ一度浦安まで足を運んでみてください。船好きの
方も、そうでない方も、きっと楽しめると思いますよ!
 
 最後になりましたが、私共の取材に丁寧に応じてくださいました
学芸員の井口さん、スタッフの三浦さんに、この場を借りて御礼申
し上げます。有難うございました!

浦安市郷土博物館
所在地:千葉県浦安市猫実1-2-7
開館時間:9:30〜16:30 休館日:毎週月曜 入場無料
アクセス:JR新浦安駅又は東西線浦安駅よりおさんぽバスにて
     Q健康センター・郷土博物館下車

 おっと、忘れるところでした!見学後の腹ごしらえに、博物館付
属レストラン「すてんぱれ(快晴を意味する浦安方言)」の郷土料理
「あさりめし」はいかが?このあさりめし、昔の浦安ではご馳走だ
ったとか。取材班も試食しましたが、なかなか美味ですよ。


★追記★ (Qたろー)

浦安市郷土博物館では、和船の乗船会を定期的に行っています。
(要事前申し込み 定員25名)
4月:13日、25日
5月:11日、25日
6月: 8日、22日
いずれも午前9時45分〜午前11時。
乗船会当日はまず博物館に集合し、簡単な和船に関するレクチャー
を受けたあと、会場となる境川に移動。投網船、小網船、ベカ舟の
3隻に分乗。定員は3隻あわせて25名で、現地で分乗します。

申し込みは1か月前からOKとのことですが、けっこう人気があり
すぐ埋まってしまうとのこと。申込はお早めに!!
雨天、荒天で中止の場合は、博物館から連絡を下さるそうです。

申し込み先:浦安市郷土博物館 TEL(047)305−4300
               FAX(047)305−7744
               
HPはこちら☆

初夏の気持ちの良い風のなか、和船にゆられてみませんか?♪


posted by SaltyFriends通信 at 09:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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