2006年08月10日

◆ よろず「帆船人」突撃インタヴュー【7】 by ふっくん  ◆

神戸商船大学(現 神戸大学)名誉教授 杉浦昭典先生インタビュー

【SF】=ソルティーフレンズ  
【杉浦先生】=神戸商船大学(現 神戸大学)名誉教授


【SF】帆船に乗っていて、一番『幸せだなぁ』と感じる時はどんな
時ですか?

【杉浦先生】波の音を聞いているとき。私は昭和27年度(昭和28年
1月から)の練習帆船日本丸の戦後初めての遠洋航海に3等航海士
として乗船し、南方八島(ミッドウェー,サイパンなど)へ戦没者
の遺骨の収集のために向かいました。昭和28年度は商船大学第
1回卒業生とともに、ハワイのヒロへ行きました(翌年度のロサン
ゼルス〜ホノルル〜カウアイ島航海は日本丸の2等航海士として
乗船)。当時の日本丸は夜の8時になると発電機を止めて帆走を
続けました。もちろんレーダーやエアコンなどありません。そうす
ると波と風の音しか聞こえません。各部屋や航海灯には灯油ランプ
が灯り、ランプの光で波の音を聞きながら夜更けまで帆船の勉強を
しました。  

【SF】今まで体験した航海で、特に印象に残っている出来事は?
(嬉しかったこと恐かったこと、感動したことetc.)

【杉浦先生】竜巻を見たとき感動しました。ハワイを出て日本へ帰
る途中の洋上で見ました。暗い空の中に真っ直ぐ柱のように見えま
した。また、南洋から北上して日本へ近付いたとき、富士山が水平
線上に見えたときも感動しました。

【SF】これからのセイルトレーニング(帆船を使った体験教育)
の、社会に果たすべき役割についてどう思われますか?

【杉浦先生】1つの船に乗って、人と人とのかかわり合いをかもし
出すのに帆船という場所は非常によい場所だと思う(助け合いの心
や、人を思いやる気持ちが芽生える)。

【SF】子供の頃の夢は何でしたか?

【杉浦先生】背広にネクタイ、カバンを持って会社に行く、そんな
人になりたいと思った。昭和初期、私の育った周辺にそんな人は
ほとんどいなかった。

【SF】船に乗った理由は?

【杉浦先生】祖父が大阪の安治川の川口で屋台をやっていて、そこ
によく遊びに行った。そこによく来る船乗り連中にかわいがられ
た。船乗りは身近な存在だった。船乗りになろうとは、はじめは
思っていなかったが、お金がかからない進学先を探すと船乗りの
学校という答えが見つかった。

【SF】ご出身は?

【杉浦先生】大阪中央卸売市場の近く。旧制中学の3年まで大阪
で、その後戦争のため父の故郷の愛知県豊橋に移った。その後静岡
県清水市にあった旧制高等商船学校を卒業した。(戦争末期に東京
・神戸に加えて清水が新設、昭和20年4月統合したので、高等商船
学校は清水の一校しかなかった。生徒数がたくさんだったため、
敷地の広い清水が選ばれた。三保半島(現在の東海大学があるあた
り)一帯が旧制高等商船学校で、それまで神戸と東京では毎年80
名、あわせて160名だったのが、戦争の進行とともに生徒数を
増やし、清水へ統合した時点で1学年1800名(航海科900
名:機関科900名)という人数になった。戦後は戦前並みの
160名に戻った。)

【SF】帆船以外のご趣味は?

【杉浦先生】帆船以外は無い。帆船の本や海と船の物語を読む事が
趣味。

杉浦先生は昭和16年に第二次世界大戦が始まった後、昭和20年に
旧制高等商船学校に入学。昭和25年に卒業。その間、戦争中と戦争
直後だったので帆走している時代ではなく、帆走経験なしに旧制高
等商船学校を卒業した。昭和27年度に日本丸が帆船として復活し
た際に3等航海士として乗船したが、帆走するのは初めて。クルー
で帆走を体験した事があるのは船長のみ(一等航海士はハワイへ帆
走訓練に出たが途中で戦争が始まり、途中で帰還せざるをえなかっ
た)。その為、航海士になってから船長からみっちり帆船というも
のを教えてもらう。また、ボースンなどの戦前の帆走体験豊富なベ
テランの甲板部員数人が乗船しておりその人たちが様々な事を耳打
ちして教えてくださっていた。

ただ残念ながら昭和29年末、新設間もない神戸商船大学へ転任し
たため、帆船に乗り続けることができず、そのまま陸上勤務となり、
帆船は趣味的な存在になってしまった、ということです。


posted by SaltyFriends通信 at 22:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。