2010年09月10日

■□ よろず帆船人突撃インタビュー 〔48〕 ポルトガル海軍 練習帆船<サグレス>艦長 ペドロ・プロエンサさん ■□

Sagres navegando.jpg CDR Proenca en su despacho.JPG
左:フルセイルの<サグレス>。文句なしの美しさ***
(写真提供:プロエンサ艦長)
右:艦長公室にて(写真提供:ぐんそう)


ポルトガルの時計メーカーが作った<サグレス>オリジナル腕時計
(価格約15万円也)のモデルをなさったこともあるプロエンサ艦長は
すらりとしたイケメン!

練習帆船の艦長といえば、1、2年で交替する海軍が多いなか、
プロエンサ艦長は<サグレス>指揮歴3年めになるとのこと。
胸にはポルトガル海軍で、1,5000時間(うちサグレス艦長として
航海なさったのは10,000時間!)航海した証のバッジが光ります。

CDR Proenca V.jpg con los companyeros.jpg
左:フォトジェニックな艦長。俳優さんみたいですね(^^
右:レセプションにて部下たちと談笑。向かって左隣は副長の
  マリオ・フォンテ氏(写真2枚とも提供:プロエンサ艦長)
 

お名前:ルイス・ペドロ・ピント・プロエンサ・メンデス
国籍:ポルトガル共和国
御生年:1966年
ご専門:ナビゲーション
ご趣味:帆船!小さなディンギーから大型帆船まで、全部好き♪


以下、プロエンサ艦長:PP
   Salty Friends:SF
   

SF:なぜ海軍に入ろうと思われたのですか?

PP:まず第一に、海や船が好きだということですね。高校生の時、
   そろそろ将来のことを考え始めた頃に、友人で海軍に入っている
   女性がいて、彼女の影響を受けたのも大きいかな。

SF:よくご家族に海軍関係者がいたから、というお話も伺いますが…。

PP:そういうケースはよくありますね。でも私の場合、近親者に
   海軍関係者は一人もいないんですよ。私だけなんです。

SF:胸に付けていらっしゃる3つのバッジは、どういう意味があるの
   ですか?

SF:「六分儀」は、専門がナビゲーションだということ。「星」は
   艦長というポスト。そして3つめの「錨」は、15,000時間航海
   したことを表わしています。

   <サグレス>艦長として3年、時間にすると10,000時間以上航海
   しています。その他の艦で、さらに5,000時間以上。普通、巡洋艦
   の艦長では、5000時間くらいで一人前と見なされますから、この
   「錨」は、まぁ、やっと一端の艦長になった証明書みたいなもん
   ですね(笑)。
   
CDR Proenca broches.jpg Sagres llegando a Valparaiso.jpg
左:「錨」は15,000時間航海した印。「星」は艦長職。「六分儀」は専門が
  ナビゲーションということを表しています。(写真提供:ぐんそう)
右:今年の帆船レースでバルパライソに入港するところ(写真提供:
  プロエンサ艦長)
  

SF:艦長のご専門はナビゲーションと伺いましたが、海軍に入ろうと
   思われた時、最初からナビゲーターを目指したのですか?

PP:ご存じのように、海軍には様々な専門職がありますよね。じつは
   電気関係にすごく興味があったので、最初はそちらを専門に勉強して
   いました。
   ただ、いくらスペシャリストになったとしても、電気では専門色が
   強すぎて、船を指揮するグループには入れません。そこで改めてナビ
   ゲーションの勉強を始めた訳です。

SF:灰色の巡洋艦などにも当然、乗っていらしたことがありますよね?意地
   悪な質問かもしれませんが、帆船と巡洋艦、どちらがお好きですか?
   あと<サグレス>以外の帆船に乗られたことはありますか?

PP:巡洋艦も帆船も、もちろん両方好きですよ(笑)。ただ巡洋艦など現代
   の艦船は、帆船と比べると「機械」ですからね。どちらもいい経験には
   なりますが、船としては全く別モノです。

   <サグレス>以外には、ポルトガル海軍には<ヴェガ>という小型帆船
   がありまして、これでも以前訓練航海をしたことがあります。
   
Ballenera del comandante.jpg

<サグレス>に搭載されている、昔は捕鯨用に使われていた「バジェネラ」と
いうボート。一緒に乗っている女性は、ペルーからエクアドルまで乗船した海
軍の招待客。(写真提供:プロエンサ艦長)


SF:<サグレス>艦長になられて3年。初めて任された時は、どう思われ
   ましたか?

PP:陸上勤務がしばらく続いていたので、そろそろ海に戻りたいな、と
   思っていた頃でした。海軍の上層部に呼ばれて「君に一隻任せようと
   思うんだが<サグレス>と巡洋艦、どちらがいいか」と言われまして。
   もちろん<サグレス>を、と即答しましたよ!

   <サグレス>は「浮かぶ大使館」。任務が重要な上に、彼女は美しく
   崇高で、唯一無二の存在です。迷いはありませんでした。
   ・・・ただ海軍軍人としての経歴を考えると、この場合選ぶべきなのは、
   実は巡洋艦の方なんですけどね(苦笑)。


SF:艦長というお仕事は、責任も重大。ご苦労も多いと思いますが、一番大
   変なのはどういった亊でしょうか?

PP:一番難しいのは、乗組員の士気を保ち続けること。長い間航海してい
   ると、どうしても艦内の生活がマンネリ化しがちです。訓練の方法など
   いろいろ工夫しています。
   そして、何と言っても責任の重大さ。例えば悪天候の夜、乗組員がマス
   トの上で操帆している時など、本当のところ、艦長は心臓バクバクなん
   ですよ(笑)。何かあった時には、すべて艦長の責任になりますから。
   
   そして常に気象、海象、艦の状態を見て、1時間後、4時間後、半日後に
   何が起こるか、予測もしなければなりません。帆船レースでは、スピー
   ド稼ぎたさについ、セイルを張り増したくなりますが、状況をよく見な
   いと。安全性に確信が持てないときは、セイルを張りたくても我慢です。
   
   ただ、予測できないハプニングも当然起こります。ここで大切なのは
   「冷静な艦長」であること。なにかトラブルが起こると、みんな一斉に
   私の方を見るわけです。「艦長はどう対処するんだろう」ってね。だか
   らそういう時は、わざと自分のカメラを持ってマストに登り、写真を
   撮ってみたりするんですよ。するとみんな、あぁ、艦長が落ち着いてい
   るから大丈夫だ、と。

SF:帆船小説などでそれに近い描写を読んだことがありますが、ほんとに艦
   長というお仕事は、のし掛かる責任との闘いですね;;私だったら、
   一航海だけで、胃に穴が開いてしまうかも!(笑)
   
ITADAKIMASU.jpg CDR Proenca pescando.jpg
左:艦長公室でお昼をご馳走になった時、お教えした日本語「いただきます」
  と「サグレスにようこそ」をメモる艦長。二つとも次の日、高円宮久子様
  が来艦された時に使ったよ、とのこと***
右:見事なシイラを釣り上げた艦長。ムニエルにすると美味しいですよね!
  (写真提供:プロエンサ艦長)
  

SF:それではここで、帆船を使ったセイルトレーニングについての
   艦長のお考えを聞かせて下さい。

PP:我々は海軍軍人を育てる練習帆船ですので、その点で民間の船とは
   違いますが、チームワークが不可欠なのは共通しています。
   テレビゲーム漬けになっている若者達が、手間のかかる練習帆船で
   集団で生活し、困難や恐怖と対峙する。狭い艦内で、大勢が長い
   時間一緒に生活していれば、時々ケンカやトラブルも起こります。
   
   海軍の良き伝統を伝え、より良い人間、そして素晴らしい海軍士官
   を育てるために 我々士官は、彼らの前に範を垂れなければなりません。
   そういう教育の場として、帆船は優れていると思います。


SF:今回は一般公開のお手伝いもさせていただき、有り難うございました。
   SFに何かメッセージをいただけますでしょうか?

PP:横浜でのSalty Friendsの皆さんのご協力には、本当に感謝しています。
   お陰様で、一般公開では、より<サグレス>やポルトガルを理解して
   いただくことができたと思います。有り難うございました!
   
              *******

「お手伝い」とは言っても、私達も十分楽しませていただきました。
御礼を申し上げるのは、こちらの方です!ムィト オブリガーダ!
ポルトガルまでのご安航をお祈りいたします。「UW」

出航前の超バタバタな中、熱く語って下さったプロエンサ艦長から
いただいた<サグレス>の「感謝状ポスター」は、船の科学館3階
読書ルームに額装して飾ってあります。ご興味ある方はぜひ、実物を
見にいらして下さいね♪

Cabo Horn del CDR Proenca.jpg Adios Grande.jpg
左:南米大陸最南端、ホーン岬を航海する<サグレス>
右:プロエンサ艦長発案の「大きなバイバイ」。横浜出港時も登場☆
(写真2枚とも提供:プロエンサ艦長)

インタビュー&翻訳:Qたろー
posted by SaltyFriends通信 at 05:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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