2006年03月10日

◆ 明治丸ヒストリー 【1】 by Qたろー ◆

去年から当Salty Friendsもリフィットボランティアとして関わっ
ている<明治丸>。メルマガでも作業の模様などをずっと掲載して
きましたので、実船をご覧になったことのない方も、少しは興味を
持っていただいているのではないでしょうか?

今月からしばらくこの<明治丸>の歴史を、建造計画から現在に
いたるまで、皆さんといっしょに巡っていきたいと思います。

《灯明台から西洋式灯台へ》

嘉永6年(1853年)にアメリカからペリー提督率いる米艦隊が
来日し、日本は250年にわたる「泰平の眠り」からたたき起こさ
れました。開国し、外国の船がひんぱんに来日するようになると、
必要になるもののひとつ…それは灯台です。
なにしろ日本の、とくに太平洋沿岸は世界的にも見ても難所の多い
海域。GPSもレーダーもなかった時代、夜間や悪天候時に灯台が
なくては、外国船はうかうか航行できません。

当時の日本にも「灯明台」と呼ばれる、かがり火をたいて船に位置
を知らせるものはありました。が、そもそも幕府による「大船建造
禁止令」のせいで、諸国大名たちは大型艦船を所有しておらず、
しかも当時は緊急の場合をのぞいて、キケンな海域を夜間に航海す
る習慣があまりなかったようです。そのため日本では、遠くまで
強い光を放つ、大型の灯台を開発するにはいたりませんでした。

《テーボールと明治丸》

そして日本は開国し、時代は明治。政府はアメリカ・フランス・イ
ギリス・オランダと結んだ条約によって西洋式灯台の建設にとりか
かりますが、交通手段の発達していなかった当時、位置の測量や
資材の運搬、そして完成した灯台の管理などにどうしても船が必要
になります。
とりあえずイギリスから375トンの中古船(購入後<燈明丸>と
改名)を買いとりますが、積載能力が十分でなかったため、翌年
にはフランスの汽船会社から鉄製外輪船の<テーボール>を購入。
業務にあたらせます。

ちょっと横道にそれますがこの<テーボール>、1869年に開通
したスエズ運河の開通式に出席したフランス皇帝妃が座乗し、
その後旅客船として使われていた、かなりゴージャス***な船
だったようです。
日本に来てからも、本来の業務のほかにセレモニーで国内外の要人
を乗せ接遇船として活躍したり、広報に使用されたり…と、しばら
くは灯台建設キャンペーン?の「看板娘」としてひっぱりだこで
した。実物を見てみたかったですね。

Meijimaru & Tabor.JPG
明治9年(1876年)7月、函館港停泊の写真。中央が
<明治丸>、左舷後方に重なって小さく見えるのが
<テーボール>(資料提供:東京海洋大学)



《明治丸、誕生前夜》

話はもどって、日本各地に灯台が急ピッチで建設され<テーボー
ル>は大忙し!だんだん一隻では全ての現場をカバーしきれなく
なってきたため、灯台業務所轄の「工部省灯台寮」は、イギリスに
新船の発注を決定します。いよいよ<明治丸>の建造プランが
たてられることに!

しかし当時は、商船はおろか軍艦さえも外国から中古で買っていた
時代です。いくら外国と結んだ条約にしたがって灯台を建造しなけ
ればならなかったとはいえ、その業務船に贅沢ともいえるピカピカ
の大型船を外国にオーダーした理由は何でしょう???

東京商船大学(現東京海洋大学)編「明治丸史」によると、おそら
く建造計画がたてられた時に、将来の海運や造船、造機そして船員
教育の『教材』としての利用が考慮されたのだろう。くわえて
<明治丸>も<テーボール>のように接遇船、あるいは皇室ヨット
として使うことも考えられていたのではないか、とのことでした。
なぁるほど〜。

当時の工部卿は、20年前1000円札の「顔」だった伊藤博文。
若いころ、イギリス留学中に船乗りとして働いた経験のある彼は、
きっと日本の海や船の発展をイメージしながら<明治丸>プランを
ねっていたのでしょうね。
                     (つづく)

Meijimaru, ornamental shelf.JPG
<明治丸>サロンにある美しい飾り棚。天板は大理石。


次回の「明治丸ヒストリー」【2】は《外輪船からスクリュー船へ》
《明治丸誕生!》。建造にまつわるお話です。お楽しみに!!
posted by SaltyFriends通信 at 02:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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