ヨットをやっていらっしゃる方なら、ご存じの方も多いでしょう。今回の
「よろず」は、プロセイラー、西村一広さんのご登場です!
ジャパン・カップ、アドミラルズカップ、アメリカズカップなど錚々たる
レースに参加し、太平洋横断記録もお持ちの西村さん。

しかし今回は、そんな目もくらむような輝かしいキャリアをさて置き、
あえて2006年から西村さんを中心に活動中の“セイリング文化創造集団”
「チーム・ニシムラプロジェクト」についてお話しを伺ってみました。

「チーム・ニシムラ」は、我々Salty Friendsボラチームも活動している、
東京お台場「船の科学館」で、昨年からボランティア活動でご一緒している
団体さん。私も「船館」お当番の合間に、体験乗船会でセイリングカヌーに
乗せていただきましたが、とっても楽しいですよー!
セイリングカヌーってどんな船??という方はぜひ、船館で体験なさって
みて下さい!9月の体験乗船会は6日(日)です。詳細は「船の科学館」
(電話:03-5500-1111)まで。


(文中写真:すべて西村さんご提供)


西村一広さんプロフィール

ご出身:福岡県北九州市小倉
御生年:1954年
1978年、東京商船大学(現東京海洋大学)商船学部航海科ご卒業。

オーシャンライフ社、舵社など船関係の出版社で編集職を経験後、
プロのセイラーとして、ヨットレースに参戦することを決意。数々の
ヨットレースで輝かしい成績、記録を樹立する。
現在はセイリングコンサルタント会社「有限会社コンパスコース」を主宰
しつつ、海洋ジャーナリストとして活躍。セイリング文化普及のため、
「チーム・ニシムラプロジェクト」では、体験乗船会などを各地で開催中。

http://www.compass-course.com/team-nishimura.info/
「チーム・ニシムラプロジェクト」HP


2006年、フランスの110フィート3胴艇(トライマラン)ヨットで
太平洋横断記録(当時)を達成したときのお写真


以下、西村一広さん:〔KN〕(敬称略)
Salty Friends:〔SF〕



SF:小学校5年生の頃に、東京商船大学を目指そうと決心なさったそうで
   すが、それはどういうきっかけだったのでしょうか?

KN:子供の頃過ごした九州の玄界灘は、冬場とても時化る海で、必然的に
   海難も多く発生します。たまたま家の近所に海上保安庁の支部があり
   まして。
   ある日、遭難した貨物船の乗組員の遺族が、泣きながら海に献花する
   場面に遭遇したんです。
   
   その時、なぜか「船乗りっていいな」と思ってしまったんですね。自
   分でもよく分らないんですが、遺族の表情などから、逆に家族の強い
   きずなや船の仕事の大変さ、やりがいを子供心に感じたのかもしれま
   せん。
   
   その後、いっとき飛行機のパイロットにも心惹かれた時期があったん
   ですけど(笑)、最終的に帆船に乗りたい、と商船大の航海科を目指
   しました。
   
      
SF:船が好きな方って、なぜか飛行機も好き、という方が多いですよね。
   ところで西村さんは、船以外になにかご趣味はお持ちですか?

KN:読書は好きで、本はよく読みますよ。とくに好きなのは、江戸時代な
   どをテーマにした時代もの。
   DVDは子供と観たりしますが、テレビ番組は最近つまらないものが
   多いので、まったく観ませんね。
   
   船関連の本では明治時代、帆船で遭難した日本の船乗りの話『無人島
   に生きる16人』がおすすめです。あまり知られていない本ですが、
   実話をもとに書かれており、ユーモアいっぱいの楽しい作品ですよ。


「わぁい*楽しい~!」海の上で笑顔がはじけます。
 
   
   
SF:『無人島に生きる16人』は要チェックですね☆
   では次に、昨年の春から「船の科学館」で体験乗船会を開催なさって
   いるセイリングカヌーについて教えて下さい。

KN:船は「アクアミューズ」を使っています。この船は市販されており、
   全日本選手権も行われています。
   
   もともと2005年の「愛・地球博」で、ヨットを知らない子供達を対
   象にセイリングキャンプを開催したのが始まりでしたが、その後
   色々なところからのサポートをうけて、2006年に葉山、2007年には
   淡路島などでも開催しました。ハンディキャップのある子供達と、
   その親御さんの体験乗船会もやったことがありますが、セイリングカ
   ヌーは、とても効果があったようですね。
   
   東京お台場「船の科学館」では、2008年から<宗谷>と<羊蹄丸>の
   あいだの海面で、8月以外の春から秋まで、月1回の乗船会を行って
   います。
   あの場所は、東京港内でもセイリングができる本当に貴重な水域なん
   ですよ。


慣れれば、子供同士でも操船可能「アクアミューズ」

   

SF:私も「船館」ボランティア当番の時に乗せていただきました!とって
   も楽しかったです♪あの乗船会を、スクールのような形になさるご予
   定はないんですか?
   
KN:お客さんから「もっと教えてほしい」というお声もいただくんですが
   スタッフの体制の問題もありますし、まだそこまで手がまわらない
   というのが実情ですね。
   
   私としては、とにかくまずセイリング未体験の方、とくに子供達に
   「セイリングって楽しいな」と思ってもらうこと、そしてその気持ち
   がつながっていくことが大事だと思っています。
   
   
SF:なるほど。ではその「チーム・ニシムラ」について伺います。現在
   のメンバー数と、構成について教えて下さい
   
KN:う~ん、人数は正確に把握してないんですけど(笑)30人くらいです
   かねぇ。構成メンバーは、いろんな職業の人がいますよ。ヨット関係、
   マスコミ関連、学校の先生とか。
   この「チーム・ニシムラプロジェクト」はお陰様で、現在では東京
   海洋大OB会の公式支援行事にもなってまして、その関係で海洋大
   OBの方も沢山参加して下さっています。


「船の科学館」フローティングパビリオン<羊蹄丸>船尾にある
桟橋で。西村さん(左端)と「チーム・ニシムラ」の皆さん。
   
   
SF:では最後に、日本のこれからの帆船教育、海事思想の普及について
   ひと言お願いします。

KN:ちょっとアメリカズカップの話になりますが、日本はこれまで3回
   このレースに挑戦しました。装備も技術も世界レベルなのに、最後の
   最後で勝てない。これは、メンタルな部分に原因があるのではないか
   と私は思っています。
   つまり根底に「海洋民族としての誇り」があるかないか、ということ。
   
   鎖国をする前、日本も大海原を航海する海洋民族でした。このことを
   現代に生きる我々は忘れているのではないでしょうか。
   西洋の帆船もいいけど、できれば日本の和船を使って、子供達にセイ
   リング文化を伝えていきたいですね。


「船館」をベースに和船でセイルトレーニングできたら、どんなに素晴らし
いでしょう***想像するだけで、頬がゆるんでしまいます。
お忙しいところ、長時間のインタビューにお付き合い下さいまして
本当に有り難うございました!これからも「船館」ボラ同士、宜しく
お願いいたします!


(インタビュー:Qたろー)