2009年05月10日

■□ よろず帆船人突撃インタビュー 〔33〕 防衛省海上幕僚監部 総務課渉外班 小河邦生さん ■□

今年は海外から2隻も帆船が来航する、我々ファンにとっては「アタリ年」。
この2隻同様、来日する練習帆船の多くは海軍に所属していますが、では
こういった船が日本を親善訪問する場合、どういった手順で来日が実現して
いるのでしょう?皆様、ご興味ありませんか?

今回の「よろず」ではちょっと目先を変えて、この外国海軍との防衛交流の
窓口となっている、海上幕僚監部総務課渉外班の小河さんにお話しを伺って
みました。


小河邦生さんプロフィール

ご出身:福岡県(福岡県産静岡育ち)
御生年:1975年

1997年、防衛大学ご卒業。現在の所属は、防衛省海上幕僚監部総務課
渉外班。海上自衛官歴12年、三等海佐。


以下小河邦生さん:〔KO〕(敬称略)
Salty Friends:〔SF〕

Mr. Ogawa 1.jpg


SF:なぜ海上自衛隊に入ろうと思われたのですか?

KO:父が旧海軍で、太平洋戦争時パイロットをしていました。
   子供の頃からその時の話を聞かされて育ったので、いつの間にか「す
   り込み」されていたのかもしれませんね。
   中学生の頃には、防衛大に入って将来ヘリのパイロットになりたいと
   思ってました。
   
   
SF:ヘリのパイロットとして5年のキャリアをお持ちと伺いましたが、今
   まで参加された航海で、特に印象に残っていることは何でしょうか?

KO:平成13年に初めてインド洋方面に海自艦艇が派遣された際、護衛
   艦「くらま」に、艦載ヘリのパイロットとして乗り組んでいました。
   
   社会的な注目度が非常に高く、出航の時、艦のまわりはマスコミの
   ヘリだらけ!責任のある任務で赴くのだという誇らしい気持ちと、緊
   張がない交ざった、フクザツな気持ちでしたね。
   
   
SF:その節は大変お疲れ様でした!
   さて、次に小河さんの、現在のお仕事について伺います。総務課渉外
   班という部署は、どういった事をなさるセクションなのでしょうか?

KO:ひとことで言うと「各国海軍との窓口業務」ですね。
   そのうち、私が担当しているのが、親善のため訪日する各国海軍艦船
   及び航空機の訪問支援です。

   各国海軍と海自の親善、相互理解、信頼醸成を図るため、交流行事な
   どの計画立案を行っています。もちろん、こうした機会に船の公開な
   どを通じて、一般の方にも広く理解を頂くことも任務の一つです。

   入港中はセレモニーやイベントに関連する細々としたことや、さらに
   乗組員が来日中にトラブルなどを起こした場合、関係当局とサポート
   したりすることもあるんですよ。

Eltururu.jpg Bahrain.jpg
各国から贈られた記念品が廊下にズラっと並ぶ海上幕僚監部の廊下。
ちょっとしたミュージアムの雰囲気☆
左:トルコ海軍から贈られた<エルトゥールル>の模型
右:アラビア半島といえば「ダウ」。バーレーン海軍より。


SF:そんなこともお仕事のうちなんですねー。
   もうすぐメキシコの練習帆船<クアウテモック>がやって来ますが
   海軍の練習帆船が来日する場合の手順といいますか、具体的な手続き
   の流れをおしえて下さい。

KO:まず本国からその国の在日大使館に、艦艇訪日の意向を示す連絡が
   入り、それを受けた大使館から外務省に「外交許可」を求める申請が
   行われます。
   外務省は、関係省庁、機関に意見照会をした上で、その入国の目的、
   艦船の性質など様々な事を検討し、適当と判断した場合「外交許可」
   を出すとともに、関係省庁、機関等に対し便宜供与を依頼します。
   防衛省(海自)はこれに基づいて支援を行っています。
   
   そして来日までの間で、寄港中の日程などの詳細を、各大使館、
海軍担当者と調整し、つめていきます。


SF:神経を使われる難しいお仕事とお察ししますが、ではこのお仕事の
   やりがい、楽しさはどんなところでしょうか?
   
KO:まず、色んな国の人と会えるのが楽しいですね!****
   逆に難しいところは、お互いの文化や習慣の違いをふまえて、対応し
   なければならないことです。

   私感ですが、相手を理解するという事は、我々のものさしで相手を図
   ることではなく、相手のものさしを知ることだと考えています。どれ
   だけ我々の常識を説明しても、時にそれは意味をなさないこともあ
   るんです。重要なのは、違いを理解することだと思っています。

   また、こうしていろんな国の人と触れあう機会から、つくづく思うの
   は、まず自分の国のこと、特にに歴史をよく知る必要があるというこ
   とです。

Guayas ceremonia.jpg ceremonia Libertad.jpg
海軍同士の親善・相互理解は、重要なファクター。
左:昨年来日したエクアドル海軍の<グァヤス>
右:同じく昨年のアルゼンチン海軍<リベルタ>
  

SF:なるほど、ほんとにそうですよね。では、今まで担当なさった国や
   船で、一番印象が強かったのはどこですか?
   

KO:これも全くの私感ですが、気質が日本人に近いなと感じたのはシンガ
   ポール海軍ですね。
   同じ島国ということ、さまざまな文化が入りまじったお国柄からか、
   社交的で、また、一緒に仕事をしていても実直、マジメな気質に
   非常に親しみを感じました。


SF:外国の海軍では、練習帆船を持つ国が多いですよね。海自もヨットで
   の訓練は行っていらっしゃいますが、それとは別に大型の帆船を使っ
   たセイルトレーニングについて、小河さんのご意見をお聞かせ下さい。

KO:正直、私自身は今までヨット以外の大型帆船というものに、乗ったこ
   とがありません。立場上「日本の海自も練習帆船を持つべき」などと
   いうことも言えませんが(笑)しかし少なくともまず、自然と対峙し
   なければならない帆船は、船乗りのベーシックな技術を鍛えるのに適
   しているのだと思います。
   
   個人的には、予算に余裕ができたら、日本の海自も練習帆船を持って
   も良いのでは・・・と思っています。

   
SF:(そうこなくっちゃ!***)ぜひ海幕長になって、練習帆船を導入
   して下さいっ!(笑)
   では最後に、SFの読者へメッセージをお願いします。
   

KO:帆船は、残された海のロマン。これからも現在の熱い活動を続けられ
   ることを願っています。
   

お忙しい中、長時間有り難うございました!!
(インタビュー:Qたろー)



日本の旧海軍も、明治の頃は練習帆船を持っていましたが、これが伝統とし
て根付く前に、大型練習帆船は海軍から姿を消してしまいました。
一度途絶えたものを、ふたたび蘇らせるのは大変難しいとは思いますが、
ぜひ日本の海上自衛隊も、いつかまた、練習帆船を持って欲しいものです。

今回お話しを伺った小河さんのお仕事内容、目まぐるしく変化する社会情勢
や先方の都合などで、船の予定が変わることは日常茶飯事だとか。大変なや
りがいがあるものの、同時にものすごい心労を伴うお仕事なのでは・・・と
感じました。

帆船まつりや一般公開などで私たちが楽しめるのも、こういった「裏方さん」
達のご苦労があってこそ、ですね。ひたすら感謝!ですm(_ _)m

インタビュー:Qたろー


posted by SaltyFriends通信 at 20:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日本の海上自衛隊がヨットで訓練しているとは知りませんでした。

練習帆船を配備するとなると予算よりも人員不足が問題になるとは思いますが・・・・やはり国際親善の為にも海上自衛隊の専用の帆船が建造されると良いですね。
Posted by イエローラジオ at 2009年05月16日 12:53
<イエローラジオさま

コメントを有り難うございました。
一ヶ月以上経ってからの超亀レス、申し訳ありません!

私はちょくちょく三浦半島の油壺というところでもヨットに乗せていただいているのですが、防大ヨット部の艇も時々見かけます。

大型帆船で訓練するのとは若干趣が異なるとは思いますが、それでも「帆船」を使ってトレーニングしていることには違いありません。
いつか、おっきいヤツを持ってくれるといいですね。

ヨットといえば、先日世界周航チャレンジ中の斉藤実さんが、チリのプンタ・アレーナス付近でエンジントラブル。漁船に救出されたものの、10万ドル!を超えるレスキュー費用を払うまで、当局に出国を差し止められている、というニュースをネットで読みました。

ああいう冒険って、保険はどうなっているのでしょう。斉藤さん、心配です。
Posted by Qたろー at 2009年06月22日 20:28
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