2009年02月10日

■□ 北米東海岸・海事博物館レポート 〜その2〜 □■

先月号に続き、今回訪れるのは全米一の学生の街、ボストンにあるコンスティチューション・ミュージアムです。

"Old Ironsides"「古い甲鉄艦」のニックネームで知られる米国海軍軍艦「USS Constitution」は、海上に浮かぶ世界最古の現役軍艦で今年でナント212歳。幾度もの廃船の危機を逃れ今日まで活躍を続ける、まさにアメリカを代表する帆船の歴史に触れてみたいと思います。

帆船好きでなくとも、ボストンに行ったら是非見学しておきたいのが<コンスティチューション>とそのミュージアム。ダウンタウンからもほど近く、橋を一つ渡った隣町のチャールズタウン海軍基地にあり、<コンスティチューション>はその1号桟橋に係留保存されています。

cnstttn_8.jpg
ヤードを外され、ちょっとさびしい…。

<コンスティチューション>は、発足間もない米国海軍の軍艦として建造を承認された6艦のフリゲートのうちの1艦で、1797年にボストンで進水。まずは地中海艦隊の旗艦として、北アフリカ沿岸のバーバリ諸国との戦争で活躍、交易を行なうアメリカ商船を擁護し、トリポリなどとの平和条約締結に貢献します。

その後1812年の米英戦争では、英国艦隊のフリゲート艦<HMSゲリエール>と激しい戦火を交えることになります。進水以来海戦に従事すること40数回、一度も敗戦や大破を被ることのなかった<コンスティチューション>ですが、この戦いでも敵艦から砲撃を受けます。ところがその強靭なライブ・オーク材でできた船側が砲弾を跳ね返し、装甲されていないにもかかわらず弾丸を一度も貫通させなかったことから、「古い鉄の船腹」すなわち"Old Ironsides"という愛称で呼ばれるようになったのです。

cnstttn_7.jpg cnstttn_9.jpg
現在、3年掛かりで大規模修繕中。2010年秋、完工予定。

そんな人気も1830年頃にはその存在自体がほとんど忘れ去られ、解体の危機に直面します。それでも同艦を題材にした詩が出版されたことがきっかけで保存の世論が高まり、議会で再建が可決。再び就役となり、地中海や南太平洋で旗艦として復帰、世界一周航海も達成しています。

その後も大衆の支持により解体を免れ、修復を繰り返しますが、1992年からの大修理で再び帆走できる状態に修復されます。そして進水から200年経った1997年、なんと116年振りの航海に出航。6枚の帆を張り、最高6.5ノットを記録しながら約40分間、自力での帆走に成功します。その後もアメリカ海軍の現役艦として、「セイル・ボストン」等の帆船イベント時などまれに港に出て帆走ることもあり、現在に至っています。

2009年2月現在、<コンスティチューション>は10年以上振りとなる大規模な修復作業の真っ最中。ヤードは全て外され、上甲板を1812年の形状に戻す工事が行なわれていますが見学は可能です。約3年掛かりとなるこの整備は2010年秋に完了の見込み。艦をボストン港に曳航し航海を行なう、一般対象の航海実演は2011年に再開予定との事で、その雄姿を見られる日はまだしばらく先となりそうです。

cnstttn_10.jpg cnstttn_11.jpg
cnstttn_12.jpg cnstttn_13.jpg

復元された造船所の建物を利用した<コンスティチューション>ミュージアムは隣の2号桟橋の付け根にあり、こちらも無料(寄付のみ)で見学できます。館内は基本的に撮影禁止ですが、写真OKの展示もあります。2階は部分的に艦内を模した部屋やヤードなどの構造物があり、実際にフットロープに立ったり、艦長の衣装でコスプレしたりと主に子供が対象ですが、カラダを使って体験できる展示があるので家族で行っても楽しめるところがオススメです。

cnstttn_5.jpg cnstttn_16.jpg
cnstttn_3.jpg cnstttn_4.jpg

メンテナンス(整備)の様子など、艦の公式サイトはコチラ↓

http://www.ussconstitution.navy.mil/

ちなみに現役艦としてはイギリスの<ヴィクトリー>(1765年進水)がさらに就役は古いものの、船渠に入ったままの状態で永久保存されているのに対し、<コンスティチューション>は"現在も航海可能な現役艦"として世界最古の艦になります。

■行き方:
公共交通機関が発達したボストンでは、最寄り駅のノース・ステーションからが便利。
ダウンタウンからなら、本数も多い地下鉄グリーンラインを利用して、「リッチメア」行きに乗り、終点2つ手前の「ノース・ステーション」駅で下車。
駅を出てコーズウェイ・ストリートからノースエンド方面に進み、5叉路に行き当たったところでチャールズタウン橋を渡ります。そのまま真っ直ぐ歩き、交差点で右に曲がりチェルシー・ストリートへ。次の交差点でさらに右に曲がりウォーレン・ストリートへ。さらに左に曲がってコンスティチューション・ロードに入ります。しばらく進むと右手に<コンスティチューション>の3本マストが見えてきます。

cnstttn_1.jpg cnstttn_14.jpg
(左)「チャールズタウンブリッジ」渡った先を右へ。 
(右)ボストン国立歴史公園の一部になっています

*近くには<コンスティチューション>もその一つとなるボストン市内主要観光名所を巡る「フリーダムトレイル」の終端、アメリカ独立戦争の戦場のひとつとなったバンカーヒルの記念塔があり、塔内の狭い螺旋階段を登って街を眺めるのもよし、またはウォーターフェリーに乗って水族館に行くのもオススメです。小腹が空いたら、チャールズタウンブリッジを隔てた隣、イタリア街のノースエンドへ。ちなみにもうひとつの最寄り駅、地下鉄オレンジラインの名前にもなっているバンカーヒル・コミュニティーカレッジは、マット・デイモン主演の映画「グッドウィル・ハンティング」の撮影現場となったことでも有名…。


さて次回は、18〜19世紀にかけて捕鯨産業の主要港として栄えた、同じマサチューセッツ州のニュー・ベッドフォードにある「ニュー・ベッドフォード・ホエーリング・ミュージアム」を訪れます。

(カズー)
posted by SaltyFriends通信 at 09:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。