時々当SFのHPや、メルマガでも個展のご案内をさせていただ
いている画家の梶田達二さん。
約50年前のデビュー当時は、イラストレイターとして、少年雑誌
の口絵や表紙、挿絵からプラモデルのボックスアートなどで、絶
大な人気を博していらっしゃいました。

帆船をモチーフとなさるようになったのは、油彩画を描かれるよ
うになってから。現在も様々なジャンルを超えて活躍されている
梶田さんに、記念すべき第30回の「よろず」を飾っていただきま
しょう!


梶田達二さんプロフィール

お名前:梶田達二(かじた たつじ)
ご出身:愛知県名古屋市
御生年:1936年

1957年、美術文化協会出品。上京後、図鑑、雑誌などのイラスト、
プラモデルの箱絵などで作品を発表。40代の頃より油彩画を手が
け、帆船もモチーフとするようになる。
70年代、海洋画の研究のため鈴木正輝氏に師事すると同時に、
海外の様々な施設、博覧会を視察。90年代以降、全国の百貨店、
画廊にて個展、グループ展多数開催。

現在無所属。


お話しを伺った、東京池袋の東武百貨店、個展会場にて。


以下梶田達二さん:〔TK〕(敬称略)
Salty Friends:〔SF〕


SF:帆船に興味を持たれたのは、いつ頃ですか?

TK:ずっとイラストレイターとしては飛行機ばかり描いていた
   んですが、40代の頃、アーティストとしてちょっとした転
   機がありましてね。油絵に転向しようと思ったんです。
   帆船を描こうと思ったのは、その時かな。理由?・・・
   他に描いてる人があまりいなかったから(笑)。
   
   その頃「船の科学館」で、鈴木正輝先生の作品を観て、日
   本にもこんな人がいたんだ!」とショックを受けたんです。
   その後勢古さん(『よろず』第25回インタビュー記事参照
   と一緒に鈴木先生に師事させていただいたんですが、先生
   に出会ってから私の帆船の絵は、本当にガラッと変わりま
   したね。
   
   
SF:なるほど。鈴木正輝さんは、日本の近代帆船画の始祖のよ
   うな方なんですね!ところで難しい質問だと思いますが、
   一枚の作品を仕上げるのに、大体どれくらいの時間がかか
   るものなのでしょうか?

TK:たいていの画家の皆さんがそうであるように、私も何枚も
   の絵を同時進行で描いています。ご存じのように、油絵は
   乾くのに時間がかかりますからね。だから、こっち塗った
   りあっち塗ったり、で、一枚にかかる時間なんて、わかん
   ないなぁ(笑)。
   でも一ヶ月で、大小あわせて10枚くらいは平均して描いて
   いますね。

 
左:クリッパー全盛時代に名を馳せた<フライング・クラウド>
右:コロンブスの艦隊、中央<サンタ・マリア>の建造当初の名前は
  <ラ・ガレガ>。いずれも梶田さん作品。


SF:帆船を描かれる時に、とくに苦労なさることはありますか?

TK:実は帆船よりも飛行機のほうが、時間がかかるんですよ。
   とにかく資料がたくさん必要なので。
   索具やブロックなど、帆船は構造が複雑ですが<日本丸>
   <海王丸>は、もう何十枚も描いているから細部まで頭に
   入っていて、資料がなくても大丈夫。むしろ悩むのはバッ
   ク(背景)ですね。日の光や風、雲の形、色で絵の雰囲気
   も変わりますから。
   
   苦労というか、描くときに気をつけるのは船(艦)載艇な
   どのボート。帆船の絵では、このボートがしっかり描けて
   いるかどうかがポイントなんです。
   ちなみにこの「ポイント」、飛行機の場合は、コクピット
   の中の操縦士。とにかく、日ごろからよく観察することが
   大切ですね。
   
   
SF:「ボート」と「操縦士」とは、意外です!
   観察のためには、実物に触れる必要もあると思いますが
   今まで実船に乗られたご経験はお持ちですか?
   
TK:10数年前、<海星>の二泊三日航海に、取材ということで
   乗せていただいたことがあります。せっかく乗船したんだ
   からと、皆さんと一緒にロープをひいたりしてみたんです
   が・・・。もともと心臓に持病があるため、具合が悪く
   なっちゃってねぇ。もうバクバク(苦笑)。
   あえなく1泊だけでリタイア、下船させてもらいました。


2003年11月~12月、神奈川県横浜市「日本郵船歴史博物館」で行わ
れた「世界の帆船を描く 梶田達二油絵展」会場入り口に立たれる
Mrs.梶田。とってもチャーミングな奥様です***


SF:今まで描かれた作品の中で、とくにお気に入りのものは
   ありますか?
   
TK:とくに気にいっていたのは、昔描いた10号(ハガキ10枚分
   サイズ)の<ヴィクトリー>。売れなかったけど(笑)。
   あとはコロンブスの<サンタ・マリア>。これは今、ハワ
   イのカウアイ島にある、海洋画専門ギャラリー(*1)に
   置いてあります。
   
   
SF:海外も含めて、お好きな作家は?

TK:私には「心の師匠」が二人います。一人は先ほども話に出
   た、海洋画家の鈴木正輝先生。もう一人は小松崎茂先生。
   とくに私は、小松崎先生の「自称愛弟子」でして(笑)。
   絵を描く上で一番影響も受けたし、亡くなる最後まで
   お付き合いも深かった。
   
   海外の画家でとくに影響を受けたと思えるのは、イギリス
   のロバート・テイラーかな。

 
左:来日したこともあるポルトガル海軍の練習帆船<サグレス>
右:クリッパーの代名詞!?スタンスル(補助帆)をあげる<カティ・
  サーク>いずれも梶田さん作品
   
   
SF:ズバリ、これから描きたいものは?

TK:飛行機が描きたい!(爆笑)
   やっぱり<日本丸><海王丸>ですね。帆船はどんな角度
   で描いても絵になるんだけど、もっともっと描いて極めた
   い。ただモチーフに関係なく、私が一番描きたい、表現し
   たいと思っているのは、光と風。飛行機の絵も帆船の絵も
   これらなしにはあり得ません。   
   
   
SF:最後にSalty Friendsに一言メッセージをお願いします。

TK:帆船普及のため、これからも一層頑張って下さい。いくら
   でも協力します!!
   

力強いお言葉、有り難うございました!!
(インタビュー:Qたろー)


今回の個展案内ハガキに使われた、初代<海王丸>の「順風満帆」。
梶田さん作品。


インタビューはちょうど先月、東京池袋の東武百貨店で行われた
個展会場にお邪魔して、取らせていただきました。この個展は
産経新聞にも「ココロのギャラリー」(上・下編)として掲載
され(*2)日本全国からの入場者数は、相当な数にのぼったよ
うです。

珍しく、個展を拝見しがてら他のSFスタッフも同席し、インタ
ビューは終始爆笑の渦!居合わせた他のお客様、ご迷惑をおかけ
しまして、申し訳ありません・・・m(_ _)m

これからもSFは、海洋画家の皆さんを応援します!いつか梶田
さんや勢古さん、そして鈴木正輝さんの作品で海洋画展なんて
できたら素敵ですね****


(*1)ハワイ海洋画専門ギャラリー「Ship Store Galleries」
住所:Coconut Marketplace 4-484 Kuhio Highway
Kapaa, Kauai, Hawaii. USA
ギャラリーHPもチェック☆

(*2)産経新聞ココロのギャラリー掲載記事はこちら!