2009年01月10日

■□ 北米東海岸・海事博物館レポート 〜その1〜 □■

今号より4回に分け、北米東海岸の海事博物館をご紹介するレポートをお届けします。

トップを切っての登場は、カナダはノバ・スコシア州にある、その名も「マリタイム・ミュージアム・オブ・ジ・アトランティック」。

外気温5℃、冷たい雨が振り頻るある晩秋の休日、州都(実は函館市の姉妹都市でもある)のハリファックスを訪れました。そのハリファックス湾に開けたウォーターフロントは特に歴史が古く、またダウンタウンにいながら潮風を肌で感じられるとっておきの散策コース。市民に開放されたウッドデッキの桟橋が、大小さまざま約1kmに渡って連なります。

そのひとつ、今やハリファックスを代表する帆船となったスクーナー<シルバ>の係留桟橋からすぐのところに、お目当てのミュージアムはありました。

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写真左:帆船<シルバ> 普段は主に湾内クルーズなど、チャーター船としても活躍。そして奥のレンガの建物がミュージアム。
写真右:入り口にある紅白のブイが目印☆

入場料(季節によって値段が違うので要チェック)を払って中に入ると、まずは灯台の巨大レンズがお出迎え。これはハリファックス湾入り口にあるサンブロ島灯台で実際に使われていたフレネルレンズで、1907年製。灯台自体は1759年に建造され、現在も使用され続けているものの中では北米最古の由緒ある灯台です。

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写真左:湾のジオラマ
写真右:サンブロ島灯台フレネルレンズ

そしてハリファックス湾のジオラマを横目に先へ進むと、ガラス張りの壁向こうに湾を眺む2層吹き抜けの大空間が出現。ここには地元で建造されてきたこの土地特有の小型船などが舷を並べて展示されています。ちょうど訪れた時は挙式を挙げたばかりのカップルが、展示の船をバックに記念撮影中でした。

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写真左:スモール・クラフト・ギャラリー。浮輪と短パンが…!
写真右:この地方の小型木造船

今回はチェックできませんでしたがミュージアム前の岸壁には専用の船小屋があり、ここでミュージアムが所蔵している70隻を越える保存船の修復作業が行われています。また、<CSS アケイディア>という主にカナダの北方海域で水路調査船として活躍した船もミュージアム脇の岸壁に整備保存され、こちらは5月〜10月の間のみ公開されています。

さて、館内に戻ってさらに先へ進むと、ここではハリファックスの歴史を変えた一大事件について学ぶ事が出来ます。1917年12月6日、ニューヨークで(現在の価値にして)約6000億円もの爆薬を積んだフランス国のチャーター船<モンブラン>がハリファックスへ入港途中、すれ違いのノルウェー船と衝突。その衝撃で積載していた爆薬に引火し、爆発。キノコ雲があがる猛烈な爆風がハリファックスを襲い、街は壊滅状態に。500kgもある錨の破片が3km以上先まで吹き飛んだというのだから、その凄まじさはハンパではありません。

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写真左:ハリファックス・エクスプロージョン1917の展示。説明はもちろん英語と仏語の並記。
写真右:何キロも飛んでいった船体の一部。熱で曲がってしまっています。

一度の人為的な爆発による被害の規模では原爆に次ぐ大きさだそうで、約2,000人の死者と4,000人以上の負傷者を出した大惨事だったようです。このコーナーでは瓦礫の山となった当時の街の体験談や写真、衝撃を受けた時刻で止まった時計など生々しい遺品が、当時人口6万の町にもたらした被害の甚大さを今に伝えています。

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写真左:爆発の話で頭が一杯になっていると、目の前に<ネプチューン>号という船の艢の部分を再現した構造体が!
写真右:内部にもしっかり3段ボンクのキャビン。

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1Fフロア

街の歴史を学んだところで、2Fフロアへ。「見える倉庫」と名付けられたセクションでは、六分儀や八分儀、望遠鏡、航海灯などの航海機具をはじめ、その他船具、衣装、船内装飾品、そして船員が持ち帰った土産物まであらゆる物がショーケースに所狭しと納められています。アイテムひとつひとつがユニークで、その貴重さや珍しい色・形など、ついつい見入ってしまいますが、ここで時間を取りすぎると後で大変な事に。適当に目を通して先に進みましょう。

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写真左:見える倉庫
写真右:2Fフロアの模型展示

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写真左:機械式測深器
写真右:測程器

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写真左:望遠鏡
写真右:小物

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写真左:シグナル・フラッグ
写真中央:八分儀
写真右:カンテラ

さらにハリファックスといえば、あのタイタニック号最初で最後の航海となった出港地としても有名なのはご承知の通り。同館にはタイタニック号のデッキチェアが、原形を留めたまま保存展示されています。現存するのは世界でも唯一これだけ!といい、同船関連の展示は豊富で期待を裏切りません。

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写真左:タイタニック号関連展示
写真右:唯一残ったタイタニック号のデッキチェア(右奥ショーケース内)

その他、ハリファックスが創業者サミュエル・クナードゆかりの地として、19世紀当時の海運大手「クナード汽船」(クイーンメリーIIを運航する現クナード・ライン社)関連の資料もあり、同社の歴史についても垣間見る事ができます。

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写真左:サミュエル・クナード
写真右:クナード汽船の<フランコニア>号模型

そして終始 "帆船づくし" なのが3Fフロア。中央部にはデッキハウスそのもの、「動く帆船」の船内を再現した構造になっていて、その傾き方といい、中に入るとまるで実際に航海中の船内にいるような錯覚に陥ります。ここはじっくり観たい!とヨロコビも束の間、訪れたのは冬の日曜日。開館は午後のほんの数時間のみ。入場したのが遅かったため、ここであえなく閉館となってしまいました。ということで残念ながらその雰囲気だけでも、何枚かの写真から感じ取ってもらえればと思います。

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写真:傾いたデッキハウス

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写真左:セイルメーカーズ・ロフト
写真右:リガーズ・ショップ

同フロアには他にその著書「Sailing Alone Around the World」で有名な、地元出身の作家ジョシュア・スローカムに関する資料などもあり、世界で初めて単独世界一周を航海した船乗り・冒険家としての素顔に触れることができます。

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写真:「シャドーボックス」

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写真:このフロアは終始帆船に尽きます!よく観られなかったのが惜しい〜!

ひとつ忘れていましたが、1F部分には20世紀初頭の船具屋の内部を再現したスペースもあり、そのタイムスリップ感が何とも言えず。ちょっと薄暗く埃っぽい昔の店内を再現した空間に、シャックルやら滑車、ロープ類などがズラリと陳列されているさまが帆船好きにはたまりません…。

というわけで今回はハリファックスを訪れましたが、お隣にはルネンバーグという、これまでに多くの木造船を送り出して来た有名な町があります。とてもこじんまりした可愛らしい町で、時間があればこちらにも足を伸ばしてみることをオススメします。

最後に、今年2009年は9年振りの大西洋横断帆船レース「トールシップス・アトランティック・チャレンジ2009」が開かれ、ハリファックスは英国ベルファストまでの復路2,300マイルを越える一大レースの出港地となります。まさに今夏はこの地を訪れる絶好のタイミング!このレースに合わせた、みなとのお祭り「トールシップス・ノバ・スコシア・フェスティバル2009」は7月16日から29日までの開催予定です。

さて次回は、一気に米国マサチューセッツ州まで南下、ボストンのコンスティテューション・ミュージアムを訪ねます。


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写真左:TallShips2000開催時、帆船で溢れるウォーターフロント。
写真右:2008年晩秋の街角。2000年のイベント時に描かれた壁画が、そのまま残っていました。

(カズー)


posted by SaltyFriends通信 at 09:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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